孤独な青年
短篇。いや、こんぐらいしか気力が続かない。童話風味。学年国語ドベ2の記録を持つ者が書いたので文章的にあってるか不明
あと内容も不明
昔どこかで読んだことのある民話をパクったかもしれない。記憶が曖昧。
数ある短篇の中で翻訳が一番進んでたりする(数行w)
友人(前にも数点短篇を見せたことがある)に見せたとき、「一人称小説しか書けないのかよお前はwww」と言われた。
ミリ語では普遍的でも、日本人には?ってなる単語は基本的にミリ語をカタカナ表記です。
追記…当時はまだ「」で囲ったセリフの最後に。をつけてはいけないというルールは知りませんでした。
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私は洗濯をしています。
毎日、モコの山から流れ出るこの川の土手の下で、コアエ服にエプロンを着ながら、洗濯をしています。そし
て、私は、洗濯をしながら、私の頭上に架かる橋を行く人に声を掛けます。その橋は、よく商人が通ります。私
は行ったことが無いのですが、西にコアエという大きな町があって、そこに商品を売りにいくそうなのですが、
時々、商人の人にねだって、商品を安く買ったりしています。 今日も、商品を運ぶ馬車が通っていきました。馬
車には紅茶の葉がつまれていました。馬車に乗っている商人は、東の町、トイオの市場に紅茶を売りにいくそう
です。とても良い香りのする紅茶葉なので少し買ってしまいました。
しばらくしてまた、反対側から誰かが来ました。自分と同じぐらいの年の若い青年が歩いてきました。
青年は、困った顔をして、橋の手すりにもたれ掛ります。橋の手すりは、商人の重い荷物や馬車が通るには、
あまり頑丈ではなく、手すりにもたれ掛れば危険なのですが、とりあえず話しかけてみることにしました。
「どうしたの? 何か悩み事でもあるのかしら?」
「なんだ、君には関係ないだろう。」
「仕事が無いのかしら? 何か紹介してあげてもいいわよ。」
「僕には大工という仕事がある。君の世話になる必要なんか無いね。ああ、洗濯なんて下らないことをしている
奴にはね。」
「なんですって?」
「ふぅん。 ところで、何をそんなに悩んでいるのかしら?」
「父親も母親も死んでしまって俺一人になってしまったんだよ。これからどうすればいいのか悩んでるんだよ。」
「じゃぁ、一人で悩まないで誰かに相談すればいいんじゃないかしら?」
「ああ、それはいいね。洗濯なんて下らない仕事をしている奴もいいことを言うもんだな。」
青年はそのまま立ち去って行きました。
次の日、洗濯をしています。
また、昨日の青年が困った顔をして、橋を通りかかります。
「昨日の娘か。また洗濯なんて下らないことをしているのだな。」
ええ。 低俗なことをしていてすいませんね。
「また、眉間にしわを寄せているようだけど、また何か悩んでいるのかしら?」
「昨日、村に帰った後、友人に相談してみたんだ。友人は、一人が嫌なのなら誰かと結婚すればいいと言うんだ。
結婚なんて冗談じゃないね。もっと良い相談相手がいないものかと悩んでいるんだよ。」
「それなら良い相談相手を知っているわ。モコのふもとのクナマの町に住んでいる大貴族の娘さんなんだけど、
一日中勉強をしていて、クナマの町で一番頭が良いそうよ。聞いた話によると、彼女は毎日謎を求めているそう
だからもしかしたら良い答えを導いてくれるかもしれないよ。」
「それは良い。行ってみよう。」
青年はそのまま走って行ってしまいました。
その日の夕暮れ、夕飯に使うジャガイモを洗っています。
すると、今朝の青年が困った顔をして、橋を通りかかります。
「また洗い物か。そんなに面白いのか。」
「面白いものよ。ところで、大貴族の娘さんは、どんな答えを出したのかしら。」
「ああ、何も答えが出せなかったさ。」
「そう。おかしいわね。それならば今頃あなたは、そんな困った素振りをせず、凱旋しているはずなのにね。」
「お前やっぱり知っていたんだな。謎を解けなければ結婚するなんてこと。」
「ええ。クナマの大貴族の娘さんが、自分に解けない謎を出した人と結婚するってゆう噂を聞いたことがあった
のよ。あなたのような知恵の無い青年の出す問題には逆に答えられないでしょうし。」
「知恵の無い青年で悪かったな。でも、その通りだ。『自分はこれからどうするべきでしょうか』と聞いたら、どう
やらさっぱり分からなかったらしくて、そいつの親が来て、『君、君は娘に解けない謎を出した。だから君はここ
に残り、娘と結婚して私の跡を継がねばならない』なんて言うんだ。俺は、『その辺の大工の出した問題も解け
ずに、あれほどにも奢る人間や、家事洗濯をする人間などとは、結婚できぬ』と言い返してやったぞ。」
「まぁ、どうせ勉強の一つもしたこと無いのに、偉そうなことを言うのですね。」
「君には関係ないだろ。しかし、これから俺はどうすればいいのやら。」
「まぁ、私には関係ないじゃない。まぁ、いいわ。東のトイオの町のアーヨソに、とても当たる占い師がいると聞い
たことがあるわ。その人に占ってもらったらどうかしら?」
「そうか。明日行ってみよう。」
青年はそのまま立ち去って行きました。
次の日、私は家でくつろいでいます。
ティータイムの前に、洗濯物を取り込まないといけませんね。
今日の紅茶は、この前の商人から買った葉からいれることにしましょう。
洗濯物を取り込みに外に出ると、昨日の青年がまた困った顔をして歩いて来ます。
「あら、また困った顔をしているの? 占い師さんに悪いことを言われたのかしら?」
「そんなんじゃないよ。あの占い師はイカサマ野郎さ。ヴェルイェンの魔力なんてはじめから信じて無いけどもね。
僕は『僕は孤独なんだけども、これからどうすればいいのかって占ってほしい』と聞いたけども、占い師は、誰に
でも当てはまるようなことを適当に言ってるだけなのさ。最後に『蝋燭の下ほど暗い所は無い』なんて言ってい
たけど、何が言いたいのがさっぱりわからないね。」
「やっぱり知恵の無い青年ね。『蝋燭の下ほど暗い所は無い』って言うのは、自分の身の回りのことは、意外と
分かりにくい、ということのたとえなのよ。」
しかし、彼は、そんなこと知る必要も無いと思って半分聞き流していました。彼は本当に癪に障る人間です。少
し、きつく言ってみましょう。
「しかし、あなたは本当にわがままな人間ね。どうせ、小さいころから甘やかされて育てられたんでしょう。両親
が死んでイライラしていたのでしょう。腹癒せに家事を低俗な仕事と言うし、甘えてろくに学びもせずに育ち、向
きになってせっかく大貴族の娘さんと結婚できるという時に断ったり、エドゥの占いを馬鹿にしたり。あなたみた
いな低俗な人間にはだれも寄ってこないんじゃないかしら。孤独になるのもしょうがないわ。」
「そんなの、君には関係ないじゃないか。」
彼は不満げな顔で、喚き声をあげて、大きく手すりから身を乗り出しました。
「あぶない!」
と叫ぶものの、時は遅く、彼は、思いきりもたれた橋の手すりがぼろりと外れて、まっさかさまに川に落ちてしま
いました。
岸に上がってきて、ずぶぬれになった青年の顔からは、既に憤りが消え、彼は、夢を見ているかのように私の
方を見つめ、ひどく泣きそうな顔になり、濡れた顔を私に寄せて、抱きついて来ました。私は特に動揺したような
素振りは見せず、ぱちりと一つ瞬きをして見つめ返しましたが、不意に彼は夢から覚めたように真っ赤になり、
なすすべも無く、水を飛ばしながら立ち去って行きました。
次の日、洗濯物を取り込むために家を出ようとしたその時、なにやら外から金槌の音が聞こえてきます。外に
出てみると、昨日の青年が困った顔をしながら、橋を修理しています。そうでした。彼は大工なのです。私が洗
濯物を取り込み終えると、橋には立派な手すりがついていました。
「橋なんて直さなくていいのよ。どうせ商人とあなたのような人しかこの橋は通らないのだから。」
私は彼の元に行ってそう言うと、
「昨日はすまなかったね。そうだ、まだ君には相談してなかったな。俺はこれからどうするべきだと思う?」
「相談に乗ってあげるから、とりあえず家に上がりなさい。橋のお礼に紅茶を入れてあげるわ。嫌とは言わせな
いわ。あなたが始めてこの橋を通ったとき、洗濯する私を馬鹿にしていたけど、いつか復讐してやろうと思って
いたのよ。あなたが紅茶を飲んでいかないと、復讐するチャンスがなくなっちゃう。」
彼は復讐の方ではなく、お茶を入れる方に礼を言うと、占い師の言っていたことが意外と当たっていた、なんて
どうでもいいことを悟ったらしく、少し上を向いて考えていました。すると、取り憑いていた悪い霊が抜けたかの
ように、彼の眉間のしわは取れ、彼は嬉しそうな顔をしていました。
ちなみに、彼が私の家に入った時に言った初めの言葉は、「この扉建て付けが悪いね、修理しようか。」